品目を絞る判断で利益と時間を整える
作る品目が増えると、農園の選択肢は広がります。一方で、栽培管理、収穫の判断、資材の準備、販売の説明、スタッフへの指示も増えます。
品目を見直すときには、その品目の売上に加えて、農園全体に生じる仕事を確認する必要があります。
複数の品目を続ける理由は、収入時期を分散したい、顧客の要望に応えたい、雇用を安定させたいなど、それぞれにあります。その理由を残したまま、今の組み合わせが農園の力に合っているかを見直してみましょう。
品目を減らすと判断の種類も減る
品目が多い農園では、社長だけが把握している例外が増えがちです。
今日どの圃場を優先するか、どの規格で出荷するか、誰に何を任せるか。
その都度、社長に確認が集まる状態では、作業量以上に判断の負担が重くなります。
中心となる品目を絞ることで、同じ作業を繰り返し経験できる時間が増えます。スタッフが段取りを覚えやすくなり、社長も改善や育成に時間を使いやすくなります。
品目削減の効果を考えるときには、削減される作業時間と、教える内容が整理される効果の両方を見ます。
やめたときに何が変わるかを計算する
判断の出発点は、その品目をやめた場合に失う売上と、実際に減らせる費用です。加えて、空いた人員や設備を別の仕事に使えるかを確認します。
固定給や施設の維持費など、品目をやめても当面残る費用を、すべて削減できるものとして計算してはいけません。
例えば、仮にある品目を休止すると年間の売上が120万円減り、その品目に伴う支出が70万円減るとします。他の条件が同じなら、差額の50万円分だけ利益への貢献が失われます。
空いた時間で別の仕事から追加で60万円の利益への貢献を得られるなら、全体では10万円改善する計算です。
ただし、その仕事を実際に受注できることと、追加の支出を織り込んでいることが前提です。これは考え方を示す仮の例です。
数字だけで判断しにくい場合もあります。
休暇を確保できる、経営者に集中していた負担が下がる、品質管理を安定させられるといった効果も並べます。
利益の減少を許容して時間を確保するなら、その減少額と得られる時間を明らかにして選びます。
忙しい工程を基準に優先順位をつける
農園全体の生産量を制限している工程を、ボトルネックと呼びます。
収穫、選別、袋詰め、配送など、どこが制約になっているかで、優先する品目は変わります。
袋詰めが追いつかない農園なら、袋詰めに使う時間に対してどれだけ利益に貢献するかを見る価値があります。
収穫が制約なら、収穫時間との関係を見ます。単位重量あたりの利益が高くても、その工程に長い時間がかかり、他の商品の出荷を止めているなら、全体で見直す余地があります。
作業を速くする投資も、どの工程に効くのかを確かめてから検討します。
理念を残しながら商品の形を変える
農園が大切にしている価値と、現在の品目構成は、分けて考えることができます。
食卓を豊かにしたいという願いは、多品目の詰め合わせでも、特定の品目を深く味わってもらう商品でも表現できます。
収穫体験や情報発信も候補になりますが、新しい仕事を増やす前に、運営できる時間と採算を確認します。
品目を集中させる場合には、天候や価格、収穫時期の偏りへの備えも必要です。販売先を分ける、繁忙期の人員を確保する、一定期間試してから判断するといった方法で、集中によって増えるリスクを見ます。
作付け計画を開いたら、一つずつ「この品目は、農園全体にどんな役割を持っているか」と問いかけてみましょう。役割と負担が見えると、残す理由も、手放す理由も説明しやすくなります。
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