【作付計画の立て方】面積より先に見る品目別の粗利

【作付計画の立て方】面積より先に見る品目別の粗利

秋は、来期の作付を決める季節です。種苗の注文、資材の手配、圃場の割り振り。

「去年これで回ったから今年も同じでいいか」

「あの品目は単価が良かった、少し増やそうか」

「でも人が足りない、むしろ減らすべきか」。

そして多くの場合、最初に決まるのは面積です。ところが面積が決まった時点で、来期の忙しさも、出ていくお金の多くも、すでに決まっています。

百一姓が作付計画で見ているのは、「どれだけ作れるか」ではなく「その組み合わせで、経営に何が残るか」です。

 

売値は上がった。ただし、買うものはそれ以上に上がっている

農林水産省の農業物価指数(令和8年7月、令和2年=100)によると、農産物価格指数は138.0で前年同月比5.9%の上昇。一方、農業生産資材価格指数は133.1で前年同月比7.5%の上昇でした。売る側の価格も上がっていますが、買う側の価格のほうが速く上がっています。

令和8年7月の前年同月比。農産物は5.9%上昇、農業生産資材は7.5%上昇

もう一つが、品目ごとの差です。同じ7月でも、果実などが低下する一方、米や野菜などは上昇しました。上がった品目と下がった品目が、同じ月に混在しています。

「農業全体の相場」を眺めても、来期の判断材料にはなりません。判断は品目ごとにしか下せません。

「前年並み」が、前年並みの手取りにならない理由

前年と同じ作付をしたのに、手元に残る金額が減っている。

原因は、売値の上がり方と費用の上がり方が品目ごとに揃っていないことにあります。単価が上がった品目でも、その品目に多く使う資材が単価以上に上がっていれば、残る金額は減ります。

それでも作付計画が面積から始まるのは、面積がいちばん扱いやすい数字だからです。しかし面積を増やして確実に増えるのは、作業量と支出のほう。手取りが同じ割合で増える保証は、どこにもありません。

作付計画の立て方は「1反増やすと、いくら残るか」から

百一姓が使うのは、この問いです。

「その品目を1反増やしたとき、実際に追加で出ていくお金はいくらか」。

増える売上から、その追加分を引いて残る金額。百一姓が品目別の粗利と呼んでいるのは、この「実際に経営に残るお金」です。決算書の売上総利益と機械的に同じものではありません。

大事なのは、すべての費用が同じように増えるわけではない点です。

  • 出荷量に比較的連動しやすいもの……箱代、送料、販売手数料
  • 出荷量が増えてもそのまま比例するとは限らないもの……肥料、農薬、園地管理費、機械関連費、雇用の一部、経営者と家族の労働

1反増やしても、機械がすぐに増えるわけではありません。逆に、増やした1反で収穫のピークが重なり、夜間作業や休日出勤が増えることがあります。この負担は帳簿に現れないまま、経営者と家族の時間を削ります。百一姓はこの時間も経営資源として数えます。

お金が動く時期も見ておきます。種苗も肥料も、支払うのが作付の前になったり、入金が収穫の後になったりすることもあります。

作付を増やすとは、立て替える現金も増やすということ。計算上は残る品目でも、通帳が先に苦しくなることがあります。

売上の大きい品目が、いちばん残る品目とは限らない

仮の試算で整理します(実在の事例ではありません)。

品目Aは1反あたりの売上が大きく、品目BはAより小さいとします。当然、Aを増やしたくなります。

ところがAは資材の投入が多く、収穫にも人手がかかりました。追加の資材費と臨時雇用の賃金を引くと、残る金額は売上ほどには伸びません。しかも収穫期が主力品目の出荷ピークと重なっていました。一方のBは、売上は小さいものの追加費用も小さく、収穫期がAとずれています。結果としてBを増やすほうが残る金額は大きく、繁忙期の山も低くなる。こうしたことは起こり得ます。

売上の順番と、残る金額の順番は一致しません。

面積を決める前に、この順番でシミュレーションする

1.  今年の実績を品目別に分ける。売上だけでなく、その品目に直接かかった費用も。

2.  1反増やしたときに追加で発生する費用を書き出す。比例するものと、しないものを分ける。

3.  収穫・出荷の時期をカレンダーに重ね、人と機械のピークがどこに来るかを見る。

4.  そのうえで、面積を決める。

そしてもう一つ。作付計画は「増やす」ためだけの計画ではありません。

品目の組み合わせを入れ替える。

手間のわりに残らない品目をやめる。

ピークが重なる作業を外注する、近隣と共同で行う。

作付を減らして、経営者の時間を取り戻す。

減らす判断で手取りが増え、時間の余白が生まれるなら、それは後退ではありません。その余白を別の仕事で埋め直す必要も、ありません。

まとめ

来期の作付で問うべきは、「どれだけ作れるか」ではありません。

「その組み合わせで、手取り・キャッシュ・時間・余白に何が残るのか」です。面積は最後に決まる数字であって、最初に決める数字ではないからです。

百一姓では、品目別の数字をほどくところから、一緒に取り組んでいます。

よくある質問(FAQ)

Q. 品目別の費用は、どこまで細かく分ければよいですか。

A. まずは「その品目をやめたら発生しなくなる費用」だけを拾ってください。共通の機械や施設の費用を無理に按分すると、かえって判断がぶれます。細かい配賦は、品目ごとの差が見えてからで遅くありません。

Q. 単価の高い品目に絞ったほうが効率的では。

A. 一概には言えません。品目を絞るとピークが一点に集中し、天候や病害虫のリスクも一点に集まります。費用と作業時期の分散まで含めて見る必要があります。

Q. 作付を変えると、交付金や補助事業の要件に影響しますか。

影響する場合があります。作付品目や面積が要件に関わる制度もあり、内容は年度で変わります。判断の前に、農林水産省の公表資料や地域の農業再生協議会など、一次情報でご確認ください。

品目別に数字をほどく作業は、最初の一回がいちばん腰が重いものです。

百一姓では、その一回目を一緒に進める無料体験会をご用意しています。

種苗の発注が本格化する前が、ちょうど考えどきです。ぜひ、無料体験会にご参加ください。

あなたの経営を変える第一歩!
まずはお気軽にご相談ください
上部へスクロール